赤ちゃんにも地球にもやさしい商品を対象に
COJ:カーボンオフセット対象商品である汎用超音波画像診断装置について教えてください。
この装置は主に産婦人科でお腹の中の赤ちゃんの様子を観察するために使用されている超音波装置です。
当社は産婦人科領域では50%以上のマーケットシェアがあります。
ヨーロッパの有害6物質含有を規制する法律=EU RoHSにもいち早く対応しています。
本来なら医療機器は2012年から適用の法律ですが、当社ではすでに2008年4月から対応しています。
プローブと呼ばれるお腹にあてるパーツの内部部品以外は鉛フリーです。
いまのところこの内部部品だけは鉛に代わるものがないため、使用がEU RoHSでも認められています。
プローブを除いた部品はすべてシーメンス関連会社などへ回収され、90%以上のリサイクル率をあげています。
COJ:この装置をカーボンオフセット対象の商品に選んだのはどうしてですか?
この装置は赤ちゃんという新しい生命の様子を見るものです。
超音波ですから放射線の被爆もなく赤ちゃんやお母さんにやさしい装置です。
カーボンオフセットは地球にやさしくするというコンセプトですから、
人体にも地球にもやさしいという意味でこの装置を対象商品に選びました。
できることは未来の環境への投資
COJ:カーボンオフセット導入への経緯を教えて下さい。
産業革命が起きて人類は自然界にあったたくさんの化石燃料を消費しました。
プラスティックやアルミなどを工場で大量に作り、またそれらを廃棄するにもたくさんのエネルギーを使うようになりました。
森林を伐採し、地球の自然はどんどん奪われていったのです。
資源を使うだけ使い、ゴミを投げ入れるだけなんてとんでもないことです。
かといって私たちはもはや19世紀には戻れません。
便利な生活や便利な石油製品などの道具を知っているからです。
今の暮らしを無くすことはできませんが、生産や廃棄におけるエネルギーを減らすことはできると思います。
そこからカーボンオフセットのアイデアが浮かびました。
カーボンオフセットの取り組みは長い目で見て、環境への投資になると考えています。
エネルギーを消費するときにお金という代価を払い、将来への投資をするのです。
この取り組みは世界の国や人々ためにもなると思います。
例えばビジネスで飛行機に乗ります。
その飛行機のチケット代にカーボンオフセット料が含まれていれば、
その代金の一部が風力発電の開発に使用されたり、また発展途上国の生活向上のため利用されたりします。
カーボンオフセットに参加したいといろいろ調査した結果、
日本の企業が多数参加されていることもあり、COJを選びました。
装置の使用電力と稼動時間、販売台数を考慮し年間のカーボンオフセット量を79トンに決め、2008年の9月に契約をしました。
COJ:社内外の反応はいかがですか。
販売先は病院、クリニックですが、経営者、先生方から評価されています。
最近は経営者の関心が高くなっています。カーボンオフセットをご存知の方も多く、装置の横に貼られているカーボンオフセットのステッカーを見て
「さすが、ヨーロッパの会社は環境に関心が高いね」などと興味を示されます。
もっと公にこの活動を広めたいと思います。
パンフレットや装置にシールを貼ったりはもちろんですが、学会の展示会場でもポスターなどでアピールしていきたいです。
社内の反応ですが、私どもは営業の会社ですから当初「なぜ製造業でもないのにそんなことをするのか?」という疑問の声がありました。
でも今ではこうした時代に企業として考えていこう、という理解へと変わってきたと思います。
COJ:他に取り組まれている環境活動はありますか?
シーメンスではプレップというプログラムがあります。
これは部品選びから製造、廃棄に至るまでのすべての過程において環境へのダメージを最小に抑えるための計画です。
製品開発の前に必ず考えられています。
社内でのクールビズや省エネ、再生紙利用、分別などは普通に浸透しています。
ドイツが環境先進国と呼ばれるわけ
COJ:クロッツさんはドイツご出身だそうですが、ドイツは環境先進国というイメージがあります。
ドイツのエコ事情を教えてください。
私が子供のころ、1960年代はドイツでも戦後の工業が盛んな時代でした。
当然環境問題もありましたが、国中が早い時点でそれを意識していたと思います。
小さな国土ですからゴミの埋め立て地なども少なく、課題となっていました。
また、家のそばにマイン川という川がありました。
母や学校の先生は「昔はあの川で泳げた」と言っていましたが、その時は臭くて危険で近づけませんでした。
ドイツではこのような問題に70年代の初めには気がつき、対策を考えるようになったのです。
今ではマイン川もきれいになり、魚も棲んでいます。もちろん泳ぐこともできるほど回復しました。
ドイツが環境先進国と言われる所以がもうひとつあります。
初めはただ環境を守るルールを作り、規則を守ろうというものでしたが、
それが新しいビジネスにもつながると気がついたことでしょう。
リサイクルビジネス、オーガニックがそうです。
環境問題に素早く対応することで、人々の生活をよくすることもでき、
またビジネスも成長していけるということをドイツは学びました。
COJ:今後の展望などをお聞かせください。
当社の母体はシーメンスという大きな企業です。
シーメンスはグリーンプロダクツにおいて世界的にトップクラスにあります。
その流れを組み、私たちも将来に向けて長い目で見た、環境に良いことへの新しい開発を常に考えています。
ただ、今は始まったばかりのこのカーボンオフセットのプロジェクトに専念したいと思っています。
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