自分の経験をもとに立ち上げたビジネスモデル
COJ:カーボンオフセットをつけたイースターパックはどんな商品ですか?
圧縮した古紙を用いた100回程度まで何度でも繰り返し使える梱包箱です。使用できなくなった後は溶かしてまた素材として再利用ができます。特殊なウレタンフィルムが緩衝剤の役割を果たすので精密機器を運ぶのにも適しています。もちろん他の緩衝剤、発泡スチロールやプチプチなども必要ありません。
COJ:イースターパックというネーミングは面白いですね。
寿命を迎えた箱がもう一度素材として復活するというコンセプトをキリスト教のイースター(復活祭)とかけました。たまたまアイデアが浮かんだのです。
COJ:この商品の開発にはご自身の体験があるそうですが。
以前、わたしは外資系の半導体メーカーでマーケティングをしていました。半導体は精密機器ですから運ぶのに緩衝剤がたくさん必要でゴミがたいへん多く出ます。ICチップを納品する際に使われるトレイが大量に捨てられるのを見ました。一度しか使わないのに捨てられるトレイがとてももったいないと思ったのです。そのゴミを処分するのにはまた膨大な費用がかかります。それに自分たちの前からは見えなくなってもゴミが消えてなくなるわけではありません。結局どこかの誰かがそれを廃棄しているわけです。お金もかかるし、ゴミは増える一方、何かおかしいと思いました。
またプライベートでも商品をネットなどで頼むと、小さいものを買ったのにその数倍以上の大きさの箱に梱包されて届きます。中を開けるとさらに緩衝剤が入っています。それをゴミとして捨てる時の手間がとてもムダだなと感じました。このようなムダをなくすために自分で起業し、繰り返し使えるイースターパックを作ったのです。
イースターパックがこれまでの梱包箱と違う点がもうひとつあります。箱を何度も使うには回収しなくてはなりません。その回収に伴う手間や人手、社員教育などが難題でした。イースターパックにはICタグを箱につけ、ウェブ上でいまどこにどの箱があるのかがすぐわかるため管理しやすくなったのです。
環境にいい、更なる企業努力を
COJ:このイースターパックにカーボンオフセットを導入したのはどういう経緯ですか。
梱包箱を100個使用するところを1個で済むのですから、その差99個分から発生するCO2を削減できるということになります。1個を製造する際のCO2もカーボンオフセットして世の中のCO2削減に貢献しようと思いました。COJさんは認知度も高く、前から知っていましたので信用出来る団体だと考え、今年2月に契約を交わしました。これから販売が始まりますが、いい反応が返ってくることを期待しています。
よくお金で解決するのはどうかという意見もありますが、実際に人間の社会は物を作り出しCO2を出してしまいます。その出した分を企業は引き取る責任があると思います。そして排出権をお金を出して買うけれど、その買った分を無駄づかいせず環境によい活動に還元しています、とアピールすることが大事だと思っています。
リピーターも続出 高い顧客満足度
COJ:現在、どのようなところで利用されていますか?
6月に開かれた洞爺湖サミットでは必要な資材を運ぶために使われました。NHKでは営業用機材の梱包に、他にもコンビニや電子機器メーカーなどに採用されています。企業によってはCO2が30トン削減できたという成果も出ています。
これまでは企業間の物流が主でしたが、先ほどお話した自分の体験から個人のお客様のためにもイースターパックを使いたいと思いました。そこでいまセイコーエプソンさんと協同で「カスタマーゼロエミッション」という取り組みを行っています。その名の通りお客様のところでゴミを出さないようにする取り組みです。お客様から修理依頼がきたらイースターパックで回収、修理後の配送も玄関で商品をそのまま引き渡すというお客様にもとても喜ばれているサービスです。
COJ:やりがいはどんなところですか?
自分の家にイースターパックで商品が送られてきたとき、すごく感動しました。実際にゴミも全然出ませんし、うれしかったですよ。自分のためにやっているのかもしれないです。我が社の株主の方々の中でもわたしと同じように、配達荷物から出るゴミに苦労されたことのある方はすぐ、この商品の主旨に賛同してくださいます。やはり実体験は大きいですね。
COJ:今後の課題や計画されていることはありますか。
これからの環境活動をさらにワンステップ上げていきたいと考えています。企業に対してはさらに働きかけていくつもりです。引っ越し業界や宅配業界、また行政機関にも参入できればいいなと思っています。CO2排出を大きくカットした実績がありますから、みなさん興味を持ってくださいます。
また一般の消費者側へのサービスを拡大していきたいです。お客様側のゴミ処理負担を減らすこと、また利用してくださった方にポイント制度のような仕組みで還元するということもやってみたいですね。この顧客に喜ばれるサービスは企業にとっても大きなメリットだと思っています。
|